学会員の皆様へ
今年の1月初め、ピース ウィンズ・ジャパンの仲間とともにインドネシア・スマトラ島のアチェ州に入り、津波で壊滅的な打撃を受けた被災者の支援にあたった。食糧・物資の配給を指揮しながら、特に気になったのは軍との関係のあり方である。アチェ州では、独立を目指す武装勢力とインドネシア国軍が対立しているが、その国軍から活動の際にエスコート役として同行させるよう圧力をかけられたのだ。
近年、自衛隊を含む各国の軍隊組織が紛争地で「人道援助」活動に関与するケースが急速に増え、かつてのように「軍は軍、援助団体は援助団体」というはっきりした線引きができなくなった。紛争地に展開するNGOは、治安の確保にしても人員や物資の輸送にしても、軍とのかかわりを完全に避けて活動することが現実には難しくなっている。一方、形はどうあれ軍と連携することは、紛争の一当事者とみなされる危険をはらみ、援助に「ゆがみ」をもたらす恐れがある。軍とどのような関係を取り結ぶべきか、あるいは結ばざるべきかについての明確な指針は、まだない。
この問題に限らず、援助の現場には、回答を早急に見出さなければならない課題がいくつもある。それらの答え探しをNGOだけの力で試みるのではなく、アカデミズムの世界の深い知見をもっと積極的に借りたいと思う。支援活動地の歴史・文化・政治情勢に関する地域研究者からの情報提供や、専門家の視点に立ったプロジェクトの評価などを含め、国際ボランティア学会の趣意である「研究と実践を有機的に結びつける」ことが、まさに必要とされている。
そんな思いから、第7回を迎える今回の大会では、自由研究発表に加えて「災害救援」「紛争下での援助活動」「紛争下への援助活動」の3テーマでの研究発表を募ることになった。研究者、実践者の双方にふるってご参加いただき、互いの理解と連携を深めるきっかけになれば幸いである。
大会委員長
大西 健丞(ピース ウィンズ・ジャパン 統括責任者)
2006年2月18日(土)~19日(日)
文教大学 越谷校舎
〒343-8511 埼玉県越谷市南荻島3337
大西 健丞(ピース ウィンズ・ジャパン 統括責任者)
正会員および法人会員所属者 3000円
学生会員 1500円
臨時会員 4000円
懇親会費 4000円