学会賞(隅谷三喜男賞・村井吉敬賞)

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隅谷三喜男賞

隅谷三喜男先生は、設立総会記念講演「21世紀の国際社会とボランティア」(『ボランティア学研究』Vol.1 2000)で、ボランティア活動における社会的組織の重要性とともに、理論構築の必要性に言及している。学会の目指す「ボランティア学」の構築には、実践活動はじめさまざまな形で寄与できるが、隅谷三喜男賞は、そのなかで学術的に優れた成果を挙げた学会員の研究活動に授与したい。授賞者の学術成果は年次大会で表彰したうえで、学会員と共有する場を設けることにする。

2020年度 小島祥美氏(東京外国語大学准教授)
授賞理由:小島氏は、これまで愛知淑徳大学で教鞭をとりながら、日本社会で見えにくい外国人児童の不就学に焦点を当て長く研究を行ってこられた。そこで重視しているのは、実証的なデータに裏付けられた具体的な問題解決へと導く研究である。岐阜県可児市教育委員会の初代外国人児童生徒コーディネーターに就任するなど、狭い研究の枠を超え、行政やNPOと協働し、不就学を生み出さない環境整備と体系的な指導体制をどのように構築できるか考え続けている。一連の研究の成果は、2019年に日本政府として初めての外国人児童生徒の就学状況を把握する全国調査の実施に結実することにもなった。学術的に優れた成果を挙げたことに加え、地域社会と連携し、外国人の不就学児を生み出さない体制づくりに貢献してこられているが、この実践と研究を架橋する取り組みは、隅谷三喜男賞の理念に合致し、授与するにふさわしいと判断した。
2019年度 宗田勝也氏、山口洋典氏
「声を伝える活動がもたらす新たな活動主体形成のプロセス―難民問題専門情報番組『難民ナウ!』を事例に」
2018年度 小川未空氏
「学校はHIV/AIDSの『社会的ワクチン』になりうるか―ケニア農村部における若年女性の事例―」
2017年度 大橋正明氏
谷山博史氏・宇井志緒利氏・金敬黙氏・中村絵乃氏・野川未央氏
著作『非戦・対話・NGO―国境を越え、世代を受け継ぐ私たちの歩み』
2016年度 日下部光氏
「マラウイの中等学校における孤児の就学を支える仕組み」
-NGOによる支援と学校の取組みに着目して-
2015年度 山本香氏
「難民がつくる新たなコミュニティーの可能性」
2014年度 木村充氏、河井亨氏
「サービス・ラーニングにおけるチームワークが学生の学習成果に及ぼす効果」
2013年度 吉井美智子氏
「日本の原発輸出」-ベトナムの視点から-
2012年度 研究奨励賞 南出和余氏
「Story of the Ghosts Living in Water, Dhaka: Rubi Enterprise (バングラデシュにおけるヒ素水質汚染問題と正しい水利用に関する紙芝居型教材)」
実践奨励賞 特定非営利活動法人MixedRoots×ユース×ネット★こんぺいとう
CODE海外災害援助市民センター
2011年度 研究奨励賞 吉井美知子氏
「立ち上がるベトナムの市民とNGO」(明石書店2009年)
実践奨励賞 該当者なし
2010年度 研究奨励賞 日下部尚徳氏
「NGOと住民-バングラデシュ・ハティア島におけるNGOの軌跡-」
(「南アジア・アフェアーズ」第4号)
実践奨励賞 ルダシングワ(吉田)真美氏
「ムリンディ・ジャパン・ワンラブ・プロジェクト」
2009年度 研究奨励賞 長沼豊氏
「新しいボランティア学習の創造」(ミネルヴァ書房)
実践奨励賞 該当者なし
2008年度 研究奨励賞 該当者なし
実践奨励賞 駿渓(スルタニ)トロペカイ氏
(NGO「希望の学校」代表)
2007年度 研究奨励賞 該当者なし
実践奨励賞 小橋川共男氏(泡瀬干潟を守る連絡会・共同代表)
大谷タカ子氏(Love Peer Price やいま・代表)
2006年度 研究奨励賞 津吹 直子氏
「緊急復興教育支援における多様なアクターの協働」
実践奨励賞 (未定)
2005年度 研究奨励賞 桑名 恵氏(大阪大学)
「紛争後の援助におけるコミュニティの社会開発に関わる課題:東ティモールの事例から」
実践奨励賞 アンダル・ダモダラン氏(インド子ども福祉財団理事長) Ms. Andal Damodaran (Indian Council for Child Welfare, India)
2004年度 研究奨励賞 山口悦子氏(大阪市立大学)
「小児医療現場におけるボランティア活動およびアート活動」
実践奨励賞 社団法人 日本国際民間協力会(NICCO)

村井吉敬賞

村井吉敬先生の活動は、学術研究にとどまらず、実践活動にも広がっていた。開発と環境問題に深い関心を寄せ、フィールドを大切にしていた村井先生が、とりわけ重視していたのは途上国と日本とのかかわりである。本学会は設立趣旨に「ボランティアの実践的な展開と日本における市民社会形成にむけてさまざまな現場で実際に活動を担っているフィールドワーカーや市民の参画が不可欠である」と銘記しているが、村井吉敬賞は、日本に活動拠点を置き、世界の「小さな民」とつながる実践活動を行っている個人または団体に授与したい。

2020年度 野川未央氏(特定非営利活動法人APLA事務局長)
授賞理由:特定非営利活動法人APLAはエビ、カカオなど具体的なモノを通して、日本国内だけでなくアジアの人々と経験を分かち合いながら、「農」を軸に生産者と消費者をつなげ、地域の経済的な自立を共に担う活動を行っている。そこにはフィリピン・ネグロス島で20年余り自立支援を続けてきた日本ネグロス・キャンペーン委員会(JCNC)の経験が活かされている。野川氏はその事務局長として、想いを同じくする人たちが地域や国境を越えて出会い、学び合う場を作り出すための交流プログラムも積極的に実施してきた。APLAは小さな組織であるが、世界の「小さな民」を丁寧につなげることで大きな社会変革ができる可能性があることを示してくれた。また野川氏は実践活動の一つとして多国籍企業の活動を批判的に検証し、『甘いバナナの苦い現実』(石井正子編著2020)にも寄稿するなど、啓発活動も行っている。村井吉敬氏の教え子でもあり、その遺志を引き継ぎさらに深化・発展させている一連の実践活動は、本賞受賞にふさわしい。

名桜大学国際ボランティア研究会(IVL:International Volunteer Lab.)
授賞理由:名桜大学国際ボランティア研究会は、学生による企画と主導で、沖縄を中心にボランティア活動を展開してきた。これまでに草の根国際協力プログラム(GONGOVA)への組織的参加、沖縄県内の国際協力機関(JICA、沖縄平和活動センター、レキオユースなど)での研修に組織的に関わっている。また国際協力・ボランティア関連機関へのインタビューを自主企画し、学んだことを同世代と共有する活動も積極に行ってきた。東京など人・情報が集まりやすい中心地だけではなく、地方でもさまざまな国際協力・ボランティア活動ができることを示してくれている。また当学会に対する貢献度も高く、第21回沖縄大会の運営補助、口頭発表などにも精力的に関わった。さらに第22回大会では企画段階から精力的に運営に関与、学生企画セッションなど新たな試みを導入するなど、本学会初の「学生主導」大会が見込まれている。コロナ禍でもできる国際ボランティアの在り方を本大会の企画・運営を通して模索する努力など、いたるところに若い世代の無限の可能性を感じさせる。名桜大学国際ボランティア研究会のこれからの更なる発展と期待を込めて、本賞を授与したい。
2019年度 ペシャワール会
2018年度 特定非営利活動法人ミタイ・ミタクニャイ子ども基金/横浜国立大学グローバルスタディーズプログラムに関わりパラグアイの農村やスラムでボランティア活動を実践してきた80名
2017年度 筑波大学 日本マラウイ学生団体
2016年度 特定非営利活動法人 神戸まちづくり研究所
2015年度 吉永美佐子氏
(NGO法人こうれい研代表理事・NPO法人シニア情報プラザ理事他)
2014年度 大西健丞氏
NGO「ピースウィンズ・ジャパン」(PWJ)代表理事兼統括責任者、公益社団法人CIVIC FORCE代表理事
2013年度 長有紀枝氏 
認定NPO法人難民を助ける会理事長/立教大学社会学部教授