会長挨拶

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1995年1月の阪神淡路大震災から3年後の1998年11月に、「違いを超えて学問研究の成果を分かち合い、それにもとづく実践を通して地球市民社会を実現するために」新しい学会が設立された。
確かに、「ボランティア元年」と言われた阪神淡路大震災以降、災害時だけでなく、日常生活の中においても、国内外を問わずボランティア活動があたりまえに行われるようになった。一方、既存の学問を基礎とした学際的な協働作業の中で、フィールドにおける実践を科学しつつ、学会という自由で開かれた場の中で「ボランティア学」の構築を目指すという、学会設立時の課題は成就したのだろうか?
2015年の第70回国連総会において、持続可能な開発目標(SDGs)が採択され、「だれひとり取り残さない」という理念が掲げられた。いわゆる途上国といわれる国々だけでなく、地球上のすべての国が参加して、政府や民間企業はもとより、市民社会が責任をもって取り組むことが求められている。このような新しい潮流の中で、国際ボランティア学会が設立当初から掲げてきた理念である「学際性」、「多様性」、「国際性」のより一層の発展が強く求められている。
そのためには、単なる文理融合だけでなく、文学や歴史や芸術といったリベラル・アーツも含み、さまざまな既存の学問分野を横断する自由闊達な学際的な議論の場を提供する必要があろう。そして、研究のための研究ではなく、ボランティア活動を実践する団体を含め、世代を越えた市民ひとりひとりが参画することにより、多様性のある議論を期待したい。いま、グローバル世界のなかで、人と人がつながり、国と国がつながっている。日本国内の活動成果を海外で活かすと同時に、海外での活動から得られた知見を国内に還元することが求められている。国内と国外を分けるのではなく、国境を越えたグローバルな双方向の関係性のなかで、ともに学びともに育つ共生の国際ボランティアのあり方が問われている。

国際ボランティア学会の創設時の隅谷三喜男会長、その後に学会の礎を造られた内海成治会長からバトンを受け継いで、2017年2月に三代目の会長をお引き受けさせていただいた。「唐様で書く三代目」にならないように、偉大な先人の軌跡をたどりつつ、市民社会に開かれた場を提供し、実践と理論を自由闊達に議論する「国際ボランティア学」のありかたを追求していきたい。
多くの市民社会、研究者、実践者、そして次世代を担う学生の方々に、気軽に国際ボランティア学会に参画いただけるように、心からお待ちしています。



国際ボランティア学会 会長
中村安秀
(甲南女子大学教授・大阪大学名誉教授)

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